No002-1労基法(法令、労働協約、就業規則、労働契約の遵守)

2019.11.05 No002-1法令、労働協約、就業規則、労働契約の優先順位

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                     とれとれE★社労士  

   

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本日は、就業規則とは何か?ということを確認したのち、

就業規則、労働協約等の効力関係について、根拠を確認しつつ、優先順位づけ

を行っております。

毎年、労働協約と労使協定の違いを含め、効力関係等についてもよーく

質問がある箇所なんです。

 

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┏━■今日のポイント■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  

  法令、労働協約、就業規則、労働契約 どの規定が優先されるの?!

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《 労働条件 ⇒ 就業規則 》

 

■ 「就業規則」

就業規則とは、使用者が、事業場において労働者が遵守すべき服務規律

と労働条件を定めた規則のこと。

 

 簡単にいうと「使用者によって作成されるルール」です。

 

・作成義務 ⇒ 常時10人以上の労働者を使用する使用者

 

・作成、変更手続き 

             労働者の過半数で組織する労働組合、又は労働者の

    過半数を代表する者の意見聴取  R元問7-C出題あり

 

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例題1 

1人でも労働者を使用する事業場においては、使用者は就業規則を作成

しなければならない。(H20-2A)

 

例題2 ~ではこの問題はどうだろう?~

常時10人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則を作成し又はその

内容を変更した場合においては、所轄労働基準監督署長にこれを提出し、

その許可を受けなければならない。(H23-5C)

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⇒例題1・・・就業規則作成義務は、常時10人以上の労働者を使用する

       使用者。

 例題2・・・所轄労働基準監督署長に届け出なければなりませんが、

       許可まではいりません。

 

>>

 

例題1の答え ×

例題2の答え ×

 

■ 効力関係

・就業規則の効力

-------------------------------------------------------------------------------

就業規則は、法令又は当該事業場について適用される労働協約に反しては

ならない。(労基法92条1項)

-------------------------------------------------------------------------------

-------------------------------------------------------------------------------

就業規則に定める基準に達しない労働条件を定める『労働契約』は、その

部分については無効とする。この場合において無効となった部分は、

就業規則で定める基準による。(労働契約法12条)

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■■ ちょっとコーヒーブレイク♪♪━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「労働協約」は労働組合、いわゆる“労働法のプロ”と締結します!

「就業規則」は?というと、上記でもう一度確認してください。

作成(変更)する際には、使用者は過半数労働組合か、又は労働者の過半数

代表者の意見を聴くだけで良かったでしょ。

この意見は極端に言えば、「反対意見でもOK」ということになります

ということは、言葉をかえれば、使用者が一方的に定めることが出来る

ということですね。

  (極端なイメージですよ。しっかり条文に過半数代表等の意見を聴く

   ことを義務付けているのは、労働者の団体意思を反映させ、就業規則

   を合理的なものにしようとする趣旨がそこにはあるのですから。H27-労基6C)

 

では、その「就業規則」と、労働法のプロが相手の「労働協約」、優先

順位がどちらが高い?と聞かれれば・・・。

そう「労働協約」です。

 

これで上記92条に書かれている

  労働協約>就業規則

 

更にその下労働契約法12条により

  就業規則>労働契約

 

の効力関係はばっちりですね^^

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■■

 

でも、本試験では、こんな問われ方もします。この効力関係を知っておいた上で・・・

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例題3

労働基準法第92条1項は、就業規則は、法令又は当該事業場について適用される

労働協約に反してはならないと規定しているが、当該事業場の労働者の一部しか

労働組合に加入していない結果、労働協約の適用がその事業場の一部の労働者に

限られているときは、就業規則の内容が労働協約の内容に反する場合においても、

当該労働協約が適用されない労働者については就業規則の規定がそのまま適用さ

れることになる。(H27-7E)

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⇒優先順位は、法92条1項どおり労働協約>就業規則ですが、労働協約は、原則

 労働組合の組合員のみに効力が生じ、それ以外の労働者への効力はありません。

 よって、設問どおり組合員は労働協約が適用されますが、組合員以外は、

 法律に反し、就業規則の内容が労働協約の内容に反する場合においても

 労働協約の適用はありません。

 

※しかし、労基法第92条 第2項(法令及び労働協約との関係)では、行政官庁は

 法令又は労働協約に抵触する就業規則の変更を命ずることができる。

 とちゃんと規定しています。

 

※さらに、この問題は、例外措置である労働協約拡張適用についての知識を問う問題

 でもあるのかなあと・・・。

 (労働組合法17条)では、

 「一の 工場事業に常時使用される同種労働者の4分の 3以上の労働者が一の労働

  協約適用を受けるに至ったときは、当該工場事業場に使用される他の労働者に関して

  も当該労働協約が適用される」という例外措置があります。

 労働協約の一般的拘束力です。

 しかし、この設問の場合、労働者の一部しか労働組合に加入していないので他の

 労働者にも適用されるという労働協約の一般的拘束力も適用されません。

 

>>

 

例題3の答え ○

 

 

 

◎もう1つ、労働協約の効力について労働組合法第16条で以下のように規定

 されています。

----------------------------------------------------------------------

労働協約に定める労働条件その他の労働者の待遇に関する基準に違反する

『労働契約』の部分は、無効とする。この場合において無効となった部分は、

基準の定めるところによる。『労働契約』に定めがない部分についても同様

である。(労働組合法16条)

---------------------------------------------------------------------

⇒上記のような労働協約の効力のことを、“規範的効力”といいます。

 労働協約は個々の『労働契約』に優先しますよ!ということです。

 

以上のことから優先順位を確認すると・・・。

 

 ■■ まとめ ■■

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その労働契約が不当でないかどうかはまず、事業所に備え付けの就業規則と

比べてチェック(事業主は、その全文を労働者に周知する義務がある)。

就業規則は、法令又は事業場について適用される労働協約に反してはならない。

就業規則が作成されていない事業場では、労働基準法の基準と比べることに

なる。

以上のことから、優先順位は!

 

    法令 > 労働協約 > 就業規則 > 労働契約

 

となる。

 

※この説明をしっかりお読みいただければ、昨日No001で一度演習した選択式問題の

 解説に書かせて頂いた「強制力の強い順」という表現がわかると思います^^ 

 ぜひもう一度読んでみて下さいね

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◎下記のこともしっかり押さえておきましょう。

 働き方改革で「同一労働同一賃金」という考え方が徹底されます。

 いざ、争いが生じた際に重要になってくるのは?

 →就業規則にきちんと規定されているか?

 次に大事になってくるのは?

 →その就業規則が周知されているかどうか?

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例題4

労働基準法106条に規定する法令等の周知義務に関し、使用者は、労働基準法

及びこれに基づく命令並びに就業規則、労使協定、労使委員会の決議については、

それらの要旨を周知すれば足り、全文の周知までは求められていない。

(H16-7E改題)

 

例題5 その周知方法は?

労働基準法第106条に定める就業規則の周知義務は、磁気テープ、磁気ディスク

その他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を

常時確認できる機器を設置することによっても果たされ得る。(H23-5E)R元-7B

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⇒例題4について

 使用者は、

  労基法及び同法に基づく命令 ⇒要旨を周知すれば足りる。

 就業規則、労使協定、労使委員会の決議 ⇒労働者に対する全文の周知義務

 が使用者に課せられている(要旨だけではダメ!!)。

 

 例題5周知方法は、

 例題5の他、常時各作業場のみやすい場所へ掲示し、又は備え

 付けること。書面を労働者に交付することのいずれかの方法により行えば

 よいとされている。

 

>>

 

例題4の答え ×

例題5の答え ○

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■転写・複写禁止

 

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